「〈堕剣士〉キロク 背徳の島」リリースいたしました!

「〈堕剣士〉キロク 背徳の島」Kindle版、無事リリースいたしました。
Amazonよりご購入いただけます。

ジャパニーズ・ソード・パンクの傑作と自負しております。
(他に存在しないんだから、傑作に決まってる)

ビターでハードボイルドな、大人のためのダーク・ファンタジーとなっております。
ぜひお読みください。

読み放題の kindle unlimeted でも読めますので、unlimitedご契約の方は他の本のついでにでもポチっとしてください。

お読みいただきましたら、良きにつけ悪しきにつけ率直な感想をレビューに残していただけましたら幸甚です。
また、「読んだよ」とメールをいただければ、次回作リリースの際など、お知らせさせていただきます。

KDPをやってみよう(4)

とはいえ、とはいえ、である。
無料で読ませていた物を有料化するというのも随分と態度のデカい話にはちがいない。
さすがにそれだけではおカネを取るのは申し訳ない。というわけで、もう1編追加することにした。
字数の面からも、1冊の本にするにはもう40,000字くらい欲しいところではあった。

で、急遽、中編「銷魂の瞳は宝玉の碧」を書き下ろした。
主人公キロクが宝玉のなかにある異世界に閉じ込められてしまうという話だ。

追加の小説を書く一方で、表紙の絵をどうするかも考えた。
やっぱり小説は表紙が大切。自分自身の経験でも、ジャケ買いした小説やCDはゴマンとあるわけで、初めての作家に手を出すときって表紙の力は大きいと思う。

だから、素人の僕が適当に作ってお茶を濁すつもりはまったくなかった。
能力のある人にきちんとおカネを払ってお願いする――これだけはKDPを思いついたときから決めていたことだった。

だがしかし、これもテンプレ話と同じで、万人受けを狙うつもりはさらさらない。
電子書籍化するこの作品には、僕自身アニメ絵っぽいイメージがないのだ。
しかも、暗い。全然、明るいイメージがない。
地下牢みたいなイメージで書いてるんだからしょうがない。

ダークファンタジーらしい絵を描いてもらいたい。それで、前々から気に入っていた絵師 L/M MUFFET さんに依頼した。

主人公に「死と乙女」が絡んでいるような構図で、とややこしいお願いをしてしまったのだった。

マカロニウエスタンを見た日

高校生のころ、あまりに安いんでハンバーグは猫肉だという噂の立った洋食屋へ行ったら、メニューに「マカロニインディアン」てのがあった。
マカロニウエスタンからの連想でイタリア風のネイティブアメリカン料理だろうかと思って注文したら、マカロニをカレー粉で炒めたのが出てきて愕然とした覚えがある。

ああ、そうか、インディアンは本来そっちか、と納得したものの、それならマカロニウエスタンは西部劇風伊映画だよなあ、と思った。

もっとも、イタリア製西部劇でも西部劇風イタリア映画でも大した違いはないだろう。
だいたい、マカロニウエスタンの嚆矢とされる「荒野の用心棒」にしてからが黒澤明の「用心棒」のパクリだったわけで、そうなるとイタリアとアメリカのみならず日本までごちゃ混ぜになっていることになる。
じゃあ、それが悪いかというと、そんなことは全然ないのだ。
むしろ、全編をムラなく覆っているインチキ臭さがマカロニウエスタンの魅力だ。

で、何げなく昼間テレビをつけたら、これをやっていたので思わず見てしまった。

ジュリアーノ・ジェンマとリー・ヴァン・クリーフ。
このリー・ヴァン・クリーフがすごく良い。
とてもよくできたストーリーだが、敵役のガンマンをヴァン・クリーフがやっていなかったら、さてどうなっていたことか。さすがリヴォルバー・オセロットである。

作中、ガンマン十戒というのが出てくる。

教訓の一 決して他人にものを頼むな。
教訓の二 決して他人を信用するな。
教訓の三 決して銃と標的の間に立つな。
教訓の四 パンチは弾と同じだ。最初の一発で勝負が決まる。
教訓の五 傷を負わせたら殺せ。見逃せば自分が殺される。
教訓の六 危険な時ほどよく狙え。
教訓の七 縄を解く前には武器を取り上げろ。
教訓の八 相手には必要な弾しか渡すな。
教訓の九 挑戦されたら逃げるな。全てを失う事になる。
教訓の十 皆殺しにするまで止めるな。

これ、どこかで使ってやろうと思う。

KDPをやってみよう(3)

KDPをやってみることにはしたものの、何を電子書籍化するかというのが悩みどころ。

「小説家になろう」とちがって、読む方はタダじゃないからね。
値段をいくらにするかということもあるけれど、100円だっておカネを取るならそれなりの内容は必要だ。

「小説家になろう」を軽く見ているわけじゃない。
ただ、有料であることで読み手に犠牲を強いているのはまちがいない。 東京との最低時給がいまは958円だから、100円の小説を読むということは、6分15秒くらいの労働と交換することになる。

ねえ、あなた、これから6分間、封筒貼りの内職をしろって言われて、その代償が僕の小説なんだよ。
どうするよ?
僕としては最低限、あなたに殴られないだけの作品を提供するほかないわけで。

質の問題は、じつはもうひとつある。
「小説家になろう」のテンプレってどうなのかって話。
「小説家になろう」のなかで沢山の人に読んでもらい、さらには書籍化を狙おうとするなら、たしかにテンプレというのは重要だと思う。

テンプレは何も「小説家になろう」に限られる話ではないのだ。
たとえばアメリカの戦前のパルプ雑誌「ブラックマスク」なんかを見ればいい。
そこに載っているハードボイルド小説は、明らかに読者が求めている「テンプレ」に沿って書かれている。
いわゆるパルプ作家がオリジナリティなんか無視して、タフガイ探偵とギャングとブロンド美女の物語を量産していたわけだ。

売れる物を作るには買い手の需要に合わせなくちゃ――というだけのこと。
何のまちがいもない。非難されるいわれもない。

ただ、こちらはインディーズなのですよ。
地方の造り酒屋さんみたいなもんのわけですよ。

売れるに越したことはないけど、ドーンと売れることなんて期待していない。

自分の書きたいことを書きたいように書く。
あとは読む側に任せるのみ。
面白そうだと思うなら買ってくれるだろうし、読んで好みに合うなら次作も購入してくれるだろう。

それでいいんじゃないかと思う。

というわけで「小説家になろう」に3編投稿した『堕剣士キロク』というファンタジー物の中短編シリーズを電子書籍に上げることにした。

皆が面白いとは言わないだろうが、200人にひとりくらいは楽しんでくれるんじゃないか。楽しんでくれるといいなあ……である。